あるくテック

日々試行錯誤しつつ実践中

「楽しい授業」を考えたきっかけと、いま。

非常勤講師である私が、「楽しい授業」をについて考え始め、大学編入で学ぶまで。

聴く人のいない授業は辛い。

随分前のことです。学生達はその日の授業内容にあまり関心を示しませんでした。私が話せば話すほど聴いている学生が減っていくのが分かります。私なりに一生懸命話しているのにです。授業を途中でやめるわけにもいかず、最後には誰も聞いていないように感じられ心が折れそうになりました。

今なら分かりますが、私の授業が下手だったんです。教材の工夫やモチベーション作りがきちんとできていませんでした。プログラミング、設計、Web制作などの仕事を経て非常勤講師になりましたのでコンピュータの技術に関する知識はありました。が、それだけでした。授業は一期一会。当時の学生には申し訳ないことをしました。

学生のせいでは、ない。

非常勤講師の仕事を始めた頃、教えていて楽しい授業と苦戦する授業がありました。振り返ると、実習中心の授業の方が教材の工夫もしやすく楽しい授業だったと思います。学生にとっても実際に作業をするので退屈しません。しかし講義の割合が多くなるにつれて難しさも増したように思います。

本当に恥ずかしい話ですが、一度「学生の話を聞く態度が悪いんじゃないか」と友人に愚痴を言ったことがあります。すると、塾でのバイト経験がある友人は、「聞かないのは、教える方が悪いからだ」と言いました。

学生も私も楽しい授業とは?

聴く人のいない授業は辛い。それなら、学生も私も楽しい授業をすればいい。

単に知識を伝えるのではなく、学生が興味を持つ内容を分かりやすく教えたい。学んだ結果や成長が見えやすいようにもしたい。しかし、たとえそういった気持ちが芽生えても、実際に目指す授業をすることは容易ではありません。

また、プログラミングの授業での課題として感じていたことが、プログラミングの力をどう伸ばすかでした。学生が「プログラミングは難しい」「自分にはできない」という先入観を持ってしまうとプログラミングに対する興味を失いがちで、そうなると力を伸ばすことは難しくなります。文法を覚え、構造を考え、さらに試行錯誤するには、モチベーションは不可欠です。

そこでまずはプログラミングの面白さを伝える工夫をしました。簡単に実習の作業の成果が出やすいようにしました。数行から数十行のプログラミングをすれば、キャラクターが動き出す、簡単なゲームができる、などです。技術的な話になりますが、その方法としては、ライブラリを用いることでプログラミングを簡略化し、またオンラインでの開発環境を使い学生のプログラムを講師用のパソコンでもチェックしやすくしました。デバッグを私が助けやすいようにすることで、学生のプログラムが動かないままに授業が終わることを極力無くしました。

学習の成果が見えることで自信や達成感に繋がり、モチベーションも上がります。プログラミングの量も少ないので苦手意識のある学生への負担も軽く、以前に比べ効率良く学べるようになりました。徐々に、授業が面白い、できるようになって嬉しいと学生に言ってもらえるようにもなりました。

しかし、まだまだ十分とは思えませんでした。

大学(教育学部)に編入して分かったこと。

私はコンピュータの知識は多少はあっても、「教える」ための知識がありませんでした。理学部卒でかつ教職課程を履修していなかった私は、教育学を学んでいなかったからです。

いくつかきっかけが重なり、大学(教育学部教育学科)への編入を決めました。仕事や家庭との両立や費用面を考え、通信課程があり比較的近くで試験やスクーリングの一部を受けられる大学を選びました。

編入後、大学では実践的な授業のノウハウというより、まずは教員としての基礎となる理論を中心に学ぶこととなりました。教育学概論、教育心理学、発達心理学などです。大学には心理学部もあったため心理学系の授業も大変充実していました。お陰で学生に対する理解を深めるのにとても役立ちました。

かつての私が「こういう授業がいいはずだ!」と考えたり感じても、それは単なる個人の感想に過ぎないものでした。しかし理論に裏付けられれば、大きな自信になります。

より自信をもって学生と話ができるようになりました。授業のやり方も変わりました。知らなかったことは本当に沢山ありました。

授業のテクニックとは。

教育実習や、そして大学のスクーリングそのものも、諸先生方の素晴らしい授業実践を拝見する貴重な機会でした。特に生徒や学生を飽きさせない授業運びや巧みな話術など、高い技術を持っていらっしゃる先生には圧倒されました。

楽しい授業のためには「話術」も磨かなくては。。。しかし学生を90分間惹きつけ続け飽きさせないような話術など、私にとってはとてつもなく高い壁です。

これからの目標。

実は、今は話術の向上ではなく、学習の成果を上げるという視点から別の方向を目指しています。

「学生の学びやすさをどう作っていくのか」です。

そのための、教材作り、クラスの環境作り、アクティブラーニング(学び合い)、スモールステップかつスパイラルなカリキュラムなどなど、これから学ぶべきことも盛り沢山です。